五臓からみる漢方薬

漢方の五臓には、肝、心、脾、肺、腎があり、感情と密接な関係にあります。

肝は精神安定に関わっているとされ、肝が亢進すると怒りっぽくなります。

肝が亢進した場合は、精神を安定させる作用を持つ柴胡(さいこ)を含んでいる、加味逍遙散(かみしょうようさん)、四逆散(しぎゃくさん)、抑肝散(よくかんさん)などを用います。

心は喜びに関わっているとされています。心が亢進すると、焦燥感、不安感、不眠、発作性紅潮、イライラしたりします。

これは、心や頭に熱がこもった状態で、舌の先に赤みがみられることもあります。

心が亢進した場合は、熱をとる作用を持つ、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)などを用います。

脾は思慮、考えることに関わっています。そのため、思い悩んで脾虚になると食欲の低下、胃もたれ、手足のほてりなどがみられます。

脾虚の場合は、人参湯(にんじんとう)、六君子湯(りっくんしとう)などを用います。

肺は悲しみに関わっているとされています。

肺陽気虚は肺の熱が不足した状態で、咳嗽、息切れ、水様の喀痰がみられます。この場合は、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)を用います。

喀痰が粘稠性の場合は、肺の水が不足した肺陰液虚の状態で、このときは清肺湯(せいはいとう)や麦門冬湯(ばくもんどうとう)を用います。

腎は先天的な生命力に関与していると考えられています。また、腎は恐れや判断力に関わっていて、腎虚になると恐れや判断力の低下がみられ、精神活動が低下します。他に、低代謝、四肢の冷え、夜間頻尿、視力・聴力の低下、性欲低下などもみられます。

腎虚では八味地黄丸(はちみじおうがん)、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)、六味丸(ろくみがん)を用います。

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