麦門冬湯の処方解説

麦門冬湯(ばくもんどうとう)は、やや実証からやや虚証の人で、胃の調子が悪く、皮膚や喉の乾燥、喉のつまり感があり、体が温まると出る咳、風邪の後に残った咳、一旦出始めると止まらなくなる咳、顔が赤くなる咳込み、透明から白色の切れにくい痰など気逆による咳嗽の症状に使われる漢方薬です。

麦門冬湯の作用機序

気逆は、体内の水分が減少してエネルギーが逆流し、気が下から上に突き上げるような状態のことをいいます。気逆の状態では、舌が赤く乾燥している、舌苔が少ない、沈んだ脈、口の中の乾燥などがみられます。

麦門冬湯には体を潤す生薬が多く含まれていて、気逆を改善するように働きます。

麦門冬湯の構成生薬

麦門冬湯の構成生薬は、麦門冬(ばくもんどう)、半夏(はんげ)、人参(にんじん)、粳米(こうべい)、甘草(かんぞう)です。

麦門冬には気道の潤いを保持して過敏性を取り除き、咳を抑える作用があります。

半夏には咳を鎮める作用があります。

人参には滋養強壮作用があります。

粳米には滋養強壮、健胃作用があります。

甘草には炎症を抑える作用があります。

気管支喘息に対する使用

麦門冬湯を気管支喘息に対して使う場合、痰が切れにくく、咳込みが強い喘息に使用されます。また、水分が多い子供より乾燥気味である高齢者に対して使われることが多いです。

一方で、水っぽい痰が多く出る場合は小青竜湯を使用します。

咳以外に対する使用

麦門冬湯は体を潤す漢方薬なので、口渇シェーングレン症候群対しても使われます。

PAGE TOP