小柴胡湯の処方解説

小柴胡湯(しょうさいことう)は、慢性肝炎風邪に使われる漢方薬です。風邪に使われる場合は、体力が中等度以上の人でひき始めから1週間位経った後、全身倦怠感、口の苦味や粘り感、めまい、食欲不振、悪心や胃のむかつきなどの消化器症状、下痢や便秘、舌苔、胸脇苦満(きょうきょうくまん)、往来寒熱(おうらいかんねつ)がある風邪に使われます。

胸脇苦満とは、肋骨の下が張った感じのことをいいます。

また、往来寒熱とは発熱と解熱を一定のリズムで繰り返す状態のことを表します。

これらの症状に加えて、頭痛や関節痛がある場合は、小柴胡湯と桂枝湯の合方である柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)が使われます。

小柴胡湯の構成生薬

小柴胡湯の構成生薬は、柴胡(さいこ)、半夏(はんげ)、生姜(しょうきょう)、黄芩(おうごん)、大棗(たいそう)、人参(にんじん)、甘草(かんぞう)です。

柴胡と黄芩には炎症を抑えたり、胸脇苦満を和らげる作用があります。

大棗と生姜と甘草には胃の働きを良くする作用があります。

人参には滋養強壮作用があります。

半夏には、咳を抑えたり、胃の働きを良くする作用があります。

慢性肝炎に対する適応

小柴胡湯は、風邪や慢性肝炎以外にアレルギー疾患、ストレス疾患に対しても使われます。

慢性肝炎に使う場合、インターフェロンと併用すると、重大な副作用の1つである間質性肺炎になることがあるので併用禁になっています。この間質性肺炎の発症は、KL6という検査値の上昇で、ある程度予測することができるとされています。

アレルギー疾患に対しては、小柴胡湯に含まれる柴胡がステロイド様の骨格を持っていて、これが免疫系のバランスを調整するために効果を表すとされています。

また、柴胡は胃潰瘍や十二指腸潰瘍などのストレス疾患に対しても有効です。

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