生薬には様々なものがあります。漢方薬とは複数の生薬が組み合わされたもので、症状に応じて必要な生薬が加減されて治療に使われます。
しかし漢方薬の場合、西洋薬と異なり構成されている生薬の薬効の総和が漢方薬の薬効になることはなく、生薬の組み合わせによって、ある生薬の薬効が増強されたり毒性が抑制されたりして薬効が変化することがあります。
今回は、生薬の配合の法則である君臣佐使(くんしんさし)と七情(しちじょう)について書いていきます。
君臣佐使
君臣佐使は、漢方薬に含まれる生薬が重要度別に分類され、君薬(くんやく)、臣薬(しんやく)、佐薬(さやく)、使薬(しやく)から漢方薬が構成されているという考え方です。
君薬
君薬は、その漢方薬の中心になるもので、疾病に対して主な作用を示します。
臣薬
臣薬は、君薬に次いで重要な役割を果たすもので、君薬を助けて治療効果を高めます。
佐薬
佐薬は、臣薬に次いで重要な役割を果たすもので、君薬の毒性を抑えたり、随伴症状を治したりします。
使薬
使薬は、佐薬に次いで重要な役割を果たすもので、君薬、臣薬、佐薬を病変部に到達させたり、それぞれの生薬を調和されたりします。
全ての漢方薬に君臣佐使があるわけではなく、漢方薬の種類によって複数の君薬があったり、君薬、臣薬、佐薬のどれかが欠けている場合があります。
七情
七情は、配合される生薬がお互いどのように作用をするかという、相互作用のようなもので分類するもので、単行(たんこう)、相須(そうす)、相使(そうし)、相畏(そうい)、相殺(そうさい)、相悪(そうお)、相反(そうはん)のいずれかの組み合わせで漢方薬が構成されているという考え方です。
単行
単行は、1つの生薬のみが単独で漢方薬になっているものです。単行に該当するものとして、甘草湯などがあります。
相須
相須は、2種類の生薬がお互いの薬効を高めるものです。相須に該当する組み合わせとして、石膏(せっこう)と知母(ちも)などがあります。
相使
相使は、1種類の生薬が相手の生薬の薬効を高めるものです。相使に該当する組み合わせとして、黄芩(おうごん)と大黄(だいおう)などがあり、黄芩は大黄の薬効を高めます。
相畏
相畏は、1種類の生薬が相手の生薬の毒性を弱めるものです。相畏に該当する組み合わせとして、生姜(しょうきょう)と半夏(はんげ)などがあり、生姜は半夏の毒性を弱めます。
相殺
相殺は、2種類の生薬がお互いの毒性を弱めるものです。相殺に該当する組み合わせとして、防風(ぼうふう)と附子(ぶし)などがあります。
相悪
相悪は、1種類の生薬が相手の生薬の薬効を弱めるものです。相悪に該当する組み合わせとして、生姜と黄芩などがあり、生姜は黄芩の薬効を弱めます。
相反
相反は、2種類の生薬を組み合わせると有害な副作用が現れるものです。相反に該当する組み合わせとして、附子と半夏などがあります。
複数の生薬を組み合わせる場合は、七情を理解して行うことが大切です。