日本と中国の生薬の違い
日本の生薬は中国から伝えられたもので、現在でも日本で使われる生薬の約70%ほどが中国から輸入されています。
しかし、生薬の名前が同じでも元の植物の種類や使用する部位が違う、というようにそれぞれの国で使われる生薬そのものが違う場合が多くあります。
海外の生薬で注意することは?
原料となる生薬が海外から輸入されていても、日本国内で承認されている薬に関しては、日本薬局方に規定された生薬が使用されているので問題になりません。
しかし、海外で流通している薬に関しては、日本薬局方で規定されていない生薬が使われていることがあるので、有効成分が違っていたり、その含有量が違う可能性があったり、有害成分が含まれている可能性もあります。
そのため渡航先で薬を買ったり、個人輸入などで海外から薬を輸入する場合は注意が必要です。
また、海外の薬には、漢方薬のような名前であってもステロイドなどの西洋薬が加えられている場合があります。このような場合は、思わぬ健康被害が出現する可能性があるので注意が必要です。
生薬の加工処理
生薬は産地で収穫したものがそのまま使われることはほとんどなく、修治といわれる加工をされて薬として使われることがほとんどです。
修治とは?
修治をする目的はいくつかあり、①毒性や刺激性などの副作用の軽減をするため、②薬効を増強するため、③品質の安定化のため、④非薬用部分の除去などがあります。
大半の修治は、洗って乾燥させて刻むという作業になりますが、その他に加熱処理をしたり、発酵させたりすることがあったり、植物性生薬では皮をむいたりすることもあります。
特殊な修治をする生薬
特殊な修治をする生薬としては附子があります。附子は様々な有毒成分を含んでいるため、高圧下高温水蒸気で加熱をしたりします。附子を塩水やにがりに浸した後に加熱して修治をしたものを炮附子(ほうぶし)といいます。
甘草の場合は、熱を加えるという修治をすることで炙甘草(しゃかんぞう)になり薬効が強くなります。
人参の場合は、外皮を剥いで乾燥させたものを白参(はくじん)、外皮を剝がずに蒸して乾燥させたものを紅参(こうじん)といいます。
生姜の場合は、乾燥したものを生姜(しょうきょう)といい、煮沸して乾燥させたものを乾姜(かんきょう)といいます。
これら人参や生姜のように、修治の違いで生薬の名前が変わるものもあります。
生薬の保管方法
修治をして品質を安定化させても、生薬は元々は天然物であるため、虫が寄ってこないようにしたり、安定性を保つために温度や湿度や紫外線などにも注意をして保管する必要があります。
生薬の保管は、湿度がほぼ一定の冷暗所で、紙袋などの密閉容器に入れて保管するのが一般的です。