漢方を学ぶ

抑肝散の処方解説

抑肝散(よくかんさん)は、体力が中等度の人で、神経過敏で興奮しやすく、怒りやすい、イライラする、眠れないなどの精神神経症状を訴える場合に用いる漢方薬です。

特に、落ち着きがなかったり、引きつけ、夜泣きなどがある小児、眼瞼痙攣や手足の震えなどを伴う場合、腹直筋が緊張している場合に用います。

抑肝散の特徴

抑肝散は、母子同服(母親と子供一緒に服用する薬)の薬としても知られています。

子供の夜泣きなどで受診した母親がヒステリックである場合、母親のヒステリーが子供の病気の原因になっている可能性があるため、母親と子供が共に抑肝散を服用することがあります。

このように母親と子供が一緒に服用することを母子同服(ぼしどうふく)といいます。

抑肝散は、精神の興奮や緊張のバランスをとる漢方薬のため、ストレスや緊張を緩和する作用もあります。ストレスや緊張による諸症状に対して、抑肝散を服用してからおよそ30分くらいで効果が現れるといわれています。

また、抑肝散は認知症による興奮や焦燥感などの周辺症状に対しても有効であることがわかっています。

胃腸虚弱であったり、お腹に手を当てるとドキドキする場合には、抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)を用いることがあります。