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防風通聖散の処方解説

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)は瀉剤(しゃざい)の1つです。

瀉剤とは

瀉剤とは、体の中に溜まった悪いものを出す役割を持ちます。瀉剤には、吐剤(とざい)、下剤(げざい)、利水剤(りすいざい)、発表剤(はっぴょうざい)があります。しかし、吐剤は現在ほとんど使われていません。

下剤は、便と一緒に悪いものを出すように働きます。

利水剤は、尿と一緒に悪いものを出すように働きます。

発表剤は、汗や気と一緒に体の表面に出すように働きます。

防風通聖散の特徴

防風通聖散は、下剤として作用する大黄(だいおう)、芒硝(ぼうしょう)、利水剤として作用する朮(じゅつ)、滑石(かっせき)、発表剤として作用する麻黄(まおう)、生姜(しょうきょう)、荊芥(けいがい)がバランスよく配合されている漢方薬です。

防風通聖散の適応

防風通聖散は、太鼓腹の人、脈やお腹が充実している人に適している漢方薬です。

防風通聖散は、尋常性乾癬などの難治性の皮膚疾患、高血圧、初期の糖尿病、初期の慢性腎炎に使います。

更に、頭痛、関節痛、口渇、口の苦み、イライラ、便秘、濃い尿などの症状に使うこともあります。便秘に用いるときは、口渇や舌の乾燥、腹痛、腹部膨満感があり、便が固い便秘に用いられます。

また、耳鳴り、聴覚障害、嗅覚障害などがある場合、治療効果を高めるために、防風通聖散で溜まった悪いものを浄化してから本来の治療を行うことがあります。

もともとの体質が防風通聖散の体質でない場合、浄化が終わると下痢になることがあります。これを浄化終了の合図として、本来の治療を開始します。

防風通聖散のダイエット効果

防風通聖散は、ダイエットのために使用することがあります。

これは、防風通聖散は褐色脂肪細胞を活性化する作用があるため、これにより体重が減ると考えられています。