桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は瘀血の治療薬です。
瘀血の原因には運動不足や食生活の欧米化などがあり、血液がドロドロになることで血の巡りが悪くなります。
瘀血の状態になると、目の下のクマが増えたり、唇、舌、歯茎の色が悪くなったり、おへその周りを押すと痛みがあったりします。また、瘀血では月経困難症、子宮内膜症、子宮筋腫、痔、ぎっくり腰、ニキビなどになりやすくなります。
瘀血に使われる漢方薬
瘀血に対して使われる駆瘀血薬には、桂枝茯苓丸の他に、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)、通導散(つうどうさん)、大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)があります。これら桂枝茯苓丸以外の3つの漢方薬には大黄が含まれています。この大黄によって下痢になる可能性があるので、瘀血に対しては桂枝茯苓丸が他と比べて使いやすい漢方薬であるといえます。
また、加味逍遙散や当帰芍薬散にも瘀血をとる作用があります。
桂枝茯苓丸の適応
桂枝茯苓丸は、体格がしっかりしていて赤ら顔が多い人に適した漢方薬です。婦人科領域の更年期障害、月経困難症、子宮内膜症、月経不順に使われる他、打撲や痔、瘀血が伴う場合の耳鳴り、高血圧、脂質異常症、炎症(卵巣炎や睾丸炎)にも使われます。
骨盤周囲の瘀血はイライラやヒステリーの原因になります。そのため、これらの症状にも使われることがあります。桂枝茯苓丸で効果がみられない場合は、桃核承気湯を使うこともあります。
瘀血によるニキビにも桂枝茯苓丸が使われますが、この場合は薏苡仁(よくいにん)を加えた桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)を使うことも多くあります。
また桂枝が含まれているので、のぼせにも効果があります。
桂枝茯苓丸の注意点
桂枝茯苓丸に含まれる桃仁(とうにん)、牡丹皮(ぼたんぴ)により流早産の危険性があるので、妊娠中は服用しないことが望ましいです。