漢方を学ぶ

当帰芍薬散の処方解説

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は、血虚に対して使われる漢方薬である四物湯(しもつとう)に含まれる当帰、芍薬、川芎(せんきゅう)と、水毒に対して使われる漢方薬である五苓散(ごれいさん)に含まれる茯苓(ぶくりょう)、朮(じゅつ)、沢瀉(たくしゃ)から構成される漢方薬で、血虚水毒に対して使われます。

血虚は貧血があったり、顔が青白い状態で、水毒は口渇、尿量減少、むくみ、めまい、耳鳴りなどがある状態です。

当帰芍薬散の適応

当帰芍薬散は、妊娠中冷え月経困難症といった様々な原因による腹痛に対して使われます。また、妊娠中毒症に伴う高血圧に対しても使われます。更に、柴苓湯(さいれいとう)と共に習慣性流産、慢性腎炎、ネフローゼ症候群、浮腫、気管支喘息に対しても使われます。気管支喘息は気管支の浮腫としてとらえます。

当帰芍薬散の作用機序

当帰芍薬散に含まれている芍薬は、筋肉の緊張を取り除く生薬です。腹痛は筋肉の緊張を伴うことが多いので、腹痛に対して効果を表します。

また、月経困難症や月経不順や冷え性など生理に関与する疾患にも使われます。これは四物湯の成分による血虚を補う作用で血の巡りを良くし、五苓散の成分による水毒を取り除く作用でむくみを取ることで効果を表します。

当帰芍薬散以外に冷え性に使われる漢方薬

前述の通り、当帰芍薬散は冷え性に対して使われますが、その他に当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)も冷え性に使われます。

この2種類の漢方薬は、水毒の有無で使い分けられます。むくみやめまいなどの水毒がある冷え性の場合は当帰芍薬散を、むくみがなかったり、痛みを伴う冷え性の場合は当帰四逆加呉茱萸生姜湯を使用します。