葛根湯の処方解説

葛根湯は風邪のときに使われる代表的な漢方薬の1つです。今回は葛根湯についてまとめていきます。

葛根湯は、太陽病期である風邪のひき始めに、寒気や発熱があり、関節痛、首や背中の強ばりがあり、無汗の風邪に使われる漢方薬です。この中で特徴的なのは無汗で、肌が少しでも湿っていたら無汗とはいいません。この場合は葛根湯でなく桂枝湯を使います。尚、桂枝湯は葛根湯に含まれる葛根と麻黄を省いたものです。桂枝湯は太陽病期だけでなく、頭痛、関節痛、首や背中の強ばりがある間は使用できます。

葛根湯の作用機序

葛根湯は、体内に侵入してきた外邪を体内の水分と一緒に出す、発表という作用で効果を表します。そのため、食事などで発汗を促したり、発汗するまで服用を続ける必要があります。

また、炎症反応に関与しているサイトカインであるIL(インターロイキン)-1αの過剰産生を抑制し、免疫を担うIL-12とIFN-γを誘導してウイルスの増殖を抑制するように働きます。

葛根湯の構成生薬

葛根湯の構成生薬は、麻黄(まおう)、桂皮(けいひ)、葛根(かっこん)、芍薬(しゃくやく)、生姜(しょうきょう)、甘草(かんぞう)、大棗(たいそう)です。

麻黄は体温を上昇させて代謝を上げる作用があります。

桂皮は発汗を調節して、体温を下げたりリンパ球を活性化させます。

葛根は筋肉のコリを取り除いたり、ワクチン様作用を示します。

芍薬には、痛みを取り除く作用があります。

生姜は体を温めたり、消化器の働きを良くするように働きます。

甘草、大棗はそれぞれ胃薬として働きます。

葛根湯の風邪以外の適応

葛根湯は、風邪以外にも頭痛、肩こり、神経痛などの疼痛、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患、炎症性疾患(結膜炎、中耳炎、乳腺炎、扁桃腺炎、リンパ節炎など)に対しても使用されます。

アトピー性皮膚炎に対しては、葛根湯の発表作用により効果を表すとされています。

発表作用により乳汁分泌を促進するので、出産後に葛根湯を使用することもあります。

葛根湯の注意点

葛根湯は体力がある人の処方なので、高齢者や胃腸虚弱の人には慎重に使います。

葛根湯には甘草が含まれているので、偽アルドステロン症やミオパシーなどの副作用に注意が必要です。

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