漢方を学ぶ

生薬、漢方薬の副作用④

今回は、漢方薬の重大な副作用である間質性肺炎と横紋筋融解症についてみていきます。

間質性肺炎

間質性肺炎は、肺の組織が炎症を起こす疾患です。間質性肺炎は早期発見、早期治療を行わないと肺胞が破壊されて、肺の機能が低下して死に至る危険な疾患です。

間質性肺炎の初期症状としては、空咳発熱労作時呼吸困難があります。特に高齢者に多くみられ、漢方薬の服用開始から1~2ヶ月の間にこれらの症状がみられたら、直ちに服薬を中止して医療機関を受診するようにします。

この間質性肺炎は、構成生薬によるアレルギーと考えられていて、証が合っていても起こる可能性があります。

間質性肺炎の原因となる漢方薬には、有名なものでは小柴胡湯(しょうさいことう)がありますが、その他にも麦門冬湯(ばくもんどうとう)乙字湯(おつじとう)補中益気湯(ほちゅうえっきとう)大柴胡湯(だいさいことう)半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)小青竜湯(しょうせいりゅうとう)防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)柴苓湯(さいれいとう)防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)などでも起こる可能性があります。

また、インターフェロン製剤との併用肝硬変の患者さん、肝癌の患者さん、慢性肝炎における肝機能障害で血小板数10万以の患者さんでは、間質性肺炎の発症リスクが高くなるので小柴胡湯は禁忌になっています。

横紋筋融解症

横紋筋融解症では、脱力感筋肉痛四肢の麻痺や痙攣筋力低下褐色尿が症状としてみられます。

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)小柴胡湯などが原因で起こります。発生頻度としては少ないですが、気をつけるべき副作用の1つです