漢方の処方を決定する際、その方法は1つでなく複数存在します。今回は、処方の決定方法について学びます。
条文に基づいた決定方法
これは、古代から伝わる条文に基づいた処方の証に使用する方法です。例えば、葛根湯は「太陽病,項背強ること几几として,汗なく悪風するは,葛根湯之を主る(傷寒論太陽病中篇)」となります。つまり、葛根湯は「太陽病期の実証が病位であり、項背の凝り、下痢を伴う者に適する」となり、このような症状がある人に使用されます。
漢方の病態把握方法による処方決定
漢方の病態把握方法に基づいて処方を決定する方法です。
例えば、月経痛と月経前のニキビを、瘀血と捉えて桂枝茯苓丸を使用する場合がこの方法に該当します。
漢方的な概念による処方決定
漢方的な概念によって処方を決定する方法です。
例えば、寒疝(かんせん)とは「冷えによる腹痛」のことで、この場合は大建中湯などを使用します。
生薬の効能効果による処方決定
漢方薬を構成する生薬が持っている効能効果から処方を決定する方法です。
例えば、動悸、驚きやすい、緊張して眠りが浅いなどの交感神経過敏の症状がある場合は、竜骨(りゅうこつ)や牡蛎(ぼれい)を含む柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)などを使用します。
口訣による処方決定
口訣(くけつ)という過去に名医が残した経験的な使用目標から処方を決定する方法です。
エビデンスによる処方決定
症例の報告などの根拠に基づいて処方を決定する方法です。
例えば、水様の痰、水様の鼻水、鼻閉、くしゃみがある場合は、小青竜湯を使用します。
西洋医学の病名に対する処方決定
西洋医学の病名に対して処方を決定する方法です。例えば、過敏性腸症候群には桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)を使用します。