漢方と東洋医学、民間療法は混同されやすいですが、別のものとして考えられています。漢方とこれらの違いについて、西洋医学との考え方の違いなどを含めて学んでいきます。
漢方と東洋医学の違い
東洋医学とは、インドの医学などと合わさって古代中国に成立した医学のことです。この東洋医学の中に、漢方、中医学、韓医学、鍼灸、気功、民間療法などが含まれます。つまり、漢方というのは東洋医学の中の1つであるといえます。
漢方と民間療法の違い
次に、漢方で使用される漢方薬と民間療法で使用される民間薬の違いについてみてみます。
漢方薬と民間薬は生薬を使うという点では同じです。使用される生薬もほとんど同じです。しかし、漢方薬は医学書の服用方法に従って使われます。これに対して、民間薬は民間で伝わっていったもので、書物などの根拠がなく起源がわからないものです。
例えばハトムギは、薏苡仁(よくいにん)という生薬として、いぼを取るために昔から使用されていました。この薏苡仁を適当な量を適当に飲む場合、薏苡仁は民間薬になります。しかし、薏苡仁を麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)や薏苡仁湯の形で使用する場合は漢方薬になります。
漢方と西洋医学の違い
漢方
漢方は約2000年前に中国で始まりました。漢方を含む東洋医学の思想は、「人間が本来持つている生きる力を妨げる病気や不摂生を取り除いて、自然治癒力を最大限に引き出す」というものです。そのため、人体に悪影響が起こりにくい作用が穏やかな薬が使用されます。
漢方薬は、体全体を診て、そのバランスを整えるために使用されるのが特徴で、様々な天然の成分が混ざりあったものが多く、これらが色々な作用を示します。
また漢方は、明らかな病変部位がなく、主に自覚症状を基にした機能異常に対して使用するのが効果的です。
漢方を含む東洋医学には、西洋医学にはない未病(みびょう)を治すという考えが存在します。未病とは、まだ病に冒されていない状態を表し、未病を治すとは、病気の予防や早期治療のことを表しています。
西洋医学
西洋医学は約2400年前に古代ギリシャで始まりました。西洋医学の思想は、「人体を薬でコントロールして、病気を薬で治す」というものです。そのため、作用が強い薬が使用されることがあります。西洋薬は、天然のものでなく合成されたものであることがほとんどで、病変部のみに対して使用されるという特徴があります。
西洋医学は、重症感染症や外科的処置などの緊急性を要する場合に使用するのが効果的といえます。